「あさきゆめみし」補足

 

 

 2016年8月31日にpixivに投稿した小説(鶴薬)「あさきゆめみし」。その世界観の解説を2016年9月18日に別サイトにて投稿したものを、加筆修正したうえでこちらに移させていただきました。

 以下、本作の世界観の簡単な説明となっています。

 物語だけを楽しみたい方にとっては完全な蛇足だと思われますので、ブラウザバックをお勧めします。そうでない方は、是非お付き合いください。

 

 

 本編に登場する「青年」は付喪神である鶴丸で、「少年」は人間である薬研です。

 

 本作は、歴史修正主義者との闘いが終わった遠い未来のおはなしです。長きに渡る戦争が終わり、鶴丸をはじめとする刀剣男士たちは本霊のもとへと還っていきました。しかし、還るべき本体のない薬研のような刀たちの魂は所在不明となっていました。

 そんなときのことです。鶴丸国永本体の展示が行われた際に、鶴丸はその会場で、昔肩を並べて戦った仲間にそっくりな人間を見つけます。容姿どころか、魂の在り方さえもがその仲間にそっくりな少年がいたのです。しかもその少年は、名を薬研というのだとか。

 鶴丸は大層驚きました。まさか、もう二度と会えないだろうと思っていた彼にこんな場所で会うことができるなんて。そんな思いに侵された鶴丸が、薬研少年をいたく気に入り、俗に言う「夢渡り」を始めるところから、この物語は始まります。

 

 作中で鶴丸と薬研がいる場所は、鶴丸の神域です。薬研少年の精神は固く、容易に入り込むことのできなかった鶴丸が、薬研を自分の神域に引きずり込むことで夢渡りを成立させたのです。

 「木造の建物」は神域の核となる場所で、平安貴族が住んでいたような建築物をイメージしています。

 「草原」は薬研少年という存在が神域に持ち込まれたことによってできた場所で、彼が幼いころに繰り返し読んだ絵本に大きな影響を受けています。

 「赤い橋」は二人の意識やセカイを繋ぐもので、神社やお城にあるような橋をイメージしています。

 

 薬研少年は人間なので、最初のうちは神域にいるということ自体が、相当な負担です。ですので、意識を渡って鶴丸のところに行くなど絶対にできません。しかし、次第に体が慣れて、橋を渡ったり、木造の建物に入ったり、鶴丸に触れたり、鶴丸と話したりできるようになっていきます。薬研少年を気に入っている鶴丸にとっては、嬉しい変化です。

 ですが、その時点で、薬研少年はこのままいくと(神気侵食の関係で)人間ではなくなってしまう状況にありました。

 あくまで人間としての生は全うしてほしいと考えている鶴丸は、薬研少年が自分の意志で(自分の足で)現実世界へと戻ることで、うつつとの繋がりを強くすることにします。そのためには、帰るときに神域にとどまりたいという気持ちを行動に出してはいけません(鶴丸が隠したくなるから)。必ず、薬研少年自身の意志と行動によって現実世界へと帰らねばなりません。だから、「間違えるな。走るな。振り返るな。キチンと家に帰れ」となるわけです。

 

 この後、鶴丸は薬研少年が死ぬまで夢渡りを続けて、彼が死んだときにその魂を神域に囲みます。薬研少年は既に死んでいるので、人間ではない「ナニカ」み成り下がることもなく、ただ人の輪廻から、人の在り方から外れることになります。

 彼らにとっては幸せな終わりとなるのでしょう。

 

 

 以上です。

 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。